【記 録】
7月24日
羽田空港から出国。ドバイ経由でジュネーヴ(コアントラン空港)に到着。13時15分。空港駅から中央駅(CORNAVIN)までは、80分間市内無料チケットを使用して鉄道で移動する。
中央駅でハーフフェアカードとZermattまでの切符を購入し乗車。中央駅→Visp(乗り換え)→Zermatt到着。所要時間3時間40分。街が可愛い。Informationで市街地図とパンフレットを収集してからチェックインする。スーパーが閉まってしまったのでパン屋さんで夕食を調達する。
7月25日
高所順応と観光を兼ねて、ゴルナーグラート鉄道(GGB)に乗る。トップまで切符を買ったつもりが一つ手前の駅(Rotenboden)までだったので、そこから45分歩いて登る。結果的に良いトレーニングになる。頂上には、天文台のある、あの有名なホテルが建っていて、モンテローザやリスカム、氷河の眺めが良い。…泊まりたい。下りは、二つ下の駅(Riffelberg)まで歩き、鉄道に乗る。
夕食はメイン通りに面したイタ飯屋でスパゲッティを注文する。ハズレ。
7月26日
高所順応とテスト山行の偵察を兼ねて、グレッシャーパラダイスへ。ホテル(駅から数分)からゴンドラ乗り場までは徒歩で20分くらい。ゴンドラを乗り継いで頂上駅まで行く。グレッシャーパラダイスはスキー場。そこでしばらく、ブライトホルンテスト山行と思われるガイドと客をジロジロ観察する。歩くペースはさほど速くないので少し安心するが、標高が高いので歩くと息がきれる。少しウロウロした後、ゴンドラで下山し途中のシュバルツゼー(Schwarzee)で下車して、今度はヘルンリ小屋まで偵察に行く。
天気が良いので老若男女が大勢歩いている。1時間45分で小屋に到着。マッターホルンから下りてくるパーティーを観察する。近くから見上げると意外に登れるような気がしてくるから不思議。
夕方アルパインセンターに出向く。予定だと28日にブライトホルン、31日マッターホルンだが、28日は悪天の予報。こちらの天気予報は良く当たる。
7月27日
牧歌的な雰囲気を味わうために、スネガケーブルカーに乗る。スネガ(Sunnegga)駅から歩き始め、フィンデルン(Findeln)という集落?経由で、ハイキング下山する。日本人に人気のルートらしいが日本人見ず。
下山後はアルパインセンターへ。29日が良さそうなので、また明日来てくださいと。
夕食は老舗のスイス料理屋さんへ。看板メニューのハーブ入りチーズフォンデュが美味しかった。パンよりイモが好き。
7月28日
雨。日曜日はお店が開いていない、とネットで何度も読んだので、前日のうちに食料を買っておいたのだがCOOPは普通に営業しているし、他のお店も普段と変わりない。季節によって違うのかしら?
アルパインセンターに行くと、明日ゴンドラ乗り場に6時30分に来てくださいとの事で、翌日29日にテスト山行決定。
7月29日
6時10分にはゴンドラ乗り場に着いてしまった。現地ガイド、お客、普通の登山客、観光客、スキー選手、犬などが朝からゴンドラ乗り場に集まっている。前回とは違い、途中でゴンドラからロープウェーに乗り換えた。上に行くに連れてガスが晴れるが意外と寒く、オーバーヤッケとオーバーズボンでのスタートとなる。後で聞くと、降雪後で状態はあまり良くなかったよう。
初めてのガイド登山。スパッツは不要と言われ、ガチャと伴にザックの中に戻す。ガイドさんが、ハーネスにロープを結んでくれて、まるでお姫様になった気分。歩くスピードは偵察時に見た感じと同じくらい。みなさんストックを携行しているので、レンタルしようか迷ったが結局せず、結果的にも必要なかった。
ツボ足歩行、アイゼン歩行と登攀、靴での岩登り、ロワーダウンなどをテストされながら、結構楽しくブライトホルン登頂。このころには晴天となり、一般ルートから多くのパーティーが登ってきていた。時間的には短いが、クライミング的にはマッターホルンよりむしろこちらの方が楽しかった。安全地帯の雪原まで下りたところで、それぞれにマッターホルンO.K.を言っていただけた。
夕食は日本料理屋で、ささやかだが許可をもらったお祝い。海鮮サラダに疲れが飛んだ。久しぶりに海に出会った気がした。後で知ったが、12月にオープンしたばかりと。ご主人はテラスがないのは不利と嘆いていたが、半地下に広がる小洒落た安心できる空間だった。
7月30日
休養日。またまたアルパインセンターへ。アルパインセンターは12時?15時までは昼休みなので、夕方ぶらぶら出向く。31日ヘルンリ、1日マッターホルンで決定。夕食はスーパーmigrosの先にある期待できるイタ飯屋さんへ。
7月31日
ヘルンリ小屋へ。同行者が、知り合いからアプローチシューズで行くと良いというアドバイスをもらっていたので、その案に乗っかり冬靴は背負って行く。1時間45分。前回より荷物は増えているのに所要時間は同じで身体は楽チン。チェックインは14時からで、到着が14時40分だったのですぐに手続きを済ませた。既に同室者2名が陣取って寛いでいる。
男女同室で、ベッドは早い者順。シーツは持参しなかったので小屋で買ったが、日本のm社の製品だった。カード使用可。小屋の中はリニューアルしたのでホテルのように素敵で、有料だがシャワーもある。せっかくなので、あちこち見て回る。
担当ガイドとの顔合わせは夕食時で、向かい合ったり、隣に並んだりの位置で食べることになる。ガイドさんたちは英語、ドイツ語、フランス語を瞬時に切り替えながら会話していて感心する。もちろん全員が全てを話せるわけではないが。夕食後、翌日の行動用の紅茶を水筒に入れてもらい、部屋に戻ってガイドによる装備チェック。オーバーズボンをはくつもりだったので薄手のクライミングパンツ一枚で来たのだが、天気が良いのでオーバーズボンは要らないと言われる。これ一枚で?と不安になるが、結果的には無風で暖かかったので全く問題なかった。
同じように、ハイドレーションのチュウチュウもトップではホース部分が凍ると言われたが、気温が下がらなかったので、凍らなかった。普段の山行では使用しないが、休憩頻度が少ないので下部だけでもと思い用意した。寒ければテルモスが欲しくなるのかも知れない。ハイドレーションバッグにスポーツドリンク400mlとナルゲンに紅茶400ml、ジェル150ccを持参した。私のガイドさんはコカコーラがお気に入りで、持って行くように勧められたが辞退してみた。
手袋はビレイグローブ1組のみ。帽子は持ったが使わず。オーバーヤッケとマイクロパフは持ったがヤッケは出番なし。ウエア関係は天候によって随分違うようで、今回はきわめて良いコンディションでの話しです。
不要なものは全て小屋にデポして極力荷物は軽く。同室のウイリアムス君は体格がしっかりしているので、幼稚園リュックを背負っているように見えた。
8月1日
4時起床だが、うちの部屋は3時30分起床。朝食も4時前から食べ始める。眠った気はしないが、緊張しているのでダルさも無い。マラソン大会のように廊下に並んで4時20分、ドアが開きスタート。まさかの4番手スタート。現地ガイドは仲間内で順番を決めてある。取り付きまで7?8分。順番が早いので待ち時間にストレスなく取り付くことができる。一緒になった日本人国際ガイドさん情報では取り付きで1時間待ちだったとか。
最初が肝心なので、全くスピードを緩めずに登っていく。登ると言ってもほとんど早歩きで息が切れまくる。ロープ確保で登る箇所もあるが、一時立ち止まれて嬉しい。クライミングで少しスピード挽回。常に早山パーティーを追いかける感じで、ソルベイ小屋通過が6時13分くらいだったような。ちょうど陽が昇ってきて美しいが素通り。
小屋から少し登ったところではじめての休憩。アイゼンを装着し、上着を着る人は着る。自分は暑いのでそのままで、直下でマイクロパフを着たが、それでも汗が滴った。フィックスロープあたりから疲れを実感するが、まあどうにか足を動かしていると頂上に着く。早山隊8時5分。大高ゆは,1分後くらい。イタリア側と違い頂上に何らかの目印があるわけでも無いので、写真を撮って、景色を見渡して、早々に退ける。少し休憩後8時15分下山開始。
同ルートを使用するので、下りる人間と登る人間が交差し、同じフィックスロープを掴んだりするわけで、明らかに先に登って先に降りる人の方がお得。傾斜がある場所はロワーダウンで降りるので早い。ソルベイを過ぎて傾斜がなくなると、どこでも降りられそうなのでルートファインディングに苦労する。後ろからガイドが右とか左とか降りるとか指示を出してくれるのだが、一瞬スピードが緩んだだけでもno wait, no stopと。確かに、積もり積もれば相当なタイムロスになるので、鍛えられる。
少し傾斜が急な部分を後ろ向きで下りようとしたら、前を向けと。片手だけを使えと、同じサイドに両手はダメと何度も指摘される。これが自分の癖なのか?参考になる。下りは途中2回くらい休憩を取り、暑くなってきて少し飽きてきた頃、取り付きのフイックスをロワーダウンして終了。11時15分無事下山。
山をバックに二人で記念撮影してもらい、再度、頂を見上げてみる。
景色を堪能する余裕もなく必死でせっせと登り、せっせと降ろされた印象だったが、てっぺんに立ってみたいという欲望は満たされた。達成感あり。
夕食は再び老舗のスイス料理屋さんへ。久しぶりの生ビールで乾杯。帰り道、日本料理屋さんの前を通ると、小屋で同室だった日本人男性が中から出て来られた。無事、登頂されたと。リベンジを果たした、いい笑顔でした。
この日はスイスの建国記念日。夜遅くまで花火が盛大に打ち上げられ、わたしたちへのお祝い、と勝手に思う。
8月2日
ホテルをチェックアウトして、いざchamonixへ。
{まとめ}
初めての海外登山でまるで勝手がわからず、準備段階から不安だらけ。今回はchamonixにある登山旅行代理店に依頼して実現しました。担当の方には細かな配慮をしていただいて感謝に尽きます。(じつはこの後、chamonixでもアパートの件でお世話になりました。)他にもいろいろな方から情報を頂いて参考にさせていただきました。最高のコンディションで登れたのは運が良かったとしか言いようがないのですが、状況によって装備はもちろん、難易度が相当変わってくるかと思います。
6月中旬にひいた風邪が長引き、3年ぶりの咳喘息状態に。天気も梅雨らしい梅雨でパッとせず、そんなこんなでトレーニングも思うように進まず。富士山2回と塔の岳3回(うち1回は歩荷)、荷物10Kg背負って材木坂を早歩きする機会が1回。富士山頂程度に相当する低酸素室を直前に2回使用。といった感じで出発したわけですが、現地で歩き回ったのは良いトレーニングになりました。
それと偵察に赴いたことで、ずい分精神的に楽になった気がします。そしてなにより二人で行けたことが心強かったです。と言っても時間があったから可能だったわけで、ホテルを9泊予約しましたが、前半にのんびりと時間を作ったのでチェックアウト前日にようやく登れました。
ハイキングも含めて、はじめてヨーロッパの山歩きを経験して刺激を受けました。今後に活かせれたらと思います。
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